合同会社の新規設立

合同会社の新規設立について、設立の流れに沿ってご説明したいと思います。以下では、事例として一番多い、社員1〜2名・現金出資での設立を前提としています。

法務省の統計データによると、平成18年の制度スタートから平成24年までの合同会社設立数は「約48,000社」で、直近3年間でかなり増えている感じです。僕の事務所では、設立案件に占める合同会社の割合はだいたい3割くらいです。

会社形態としてはやっぱり株式会社が一番基本的かつ無難だと思いますので、合同会社は誰にでもオススメできる形態ではないと思いますが、設立コストを少しでも下げたいという希望から相談を受けることも多いです。

目次

  1. 設立スケジュールの確認・決定
  2. 設立する会社の概要を検討
  3. 商号や事業目的の調査
  4. 個人実印・会社実印の準備
  5. 定款原案についての打ち合わせ
  6. 資本金の払い込み
  7. 各種書類の作成
  8. 司法書士さんとのやり取り
  9. 法務局への設立登記申請

1.設立スケジュールの確認・決定

お客さんから合同会社設立のご依頼が入ると、早速初回の打ち合わせを行っていきます。

合同会社は定款認証も必要なく、時間をかけずに設立できます。お客さんもそんな事情を知っていらっしゃるようで、合同会社の案件は特に「最速で設立してほしい」というご要望が多いように思われます。

株式会社の新規設立のページでも書きましたが、僕はオリジナルのスケジュール表を作成し、初回打ち合わせの際にお客さんにお渡しするようにしています。お客さんと僕との役割分担が明確になるようにし、時間をムダにしないように心がけています。

2.設立する会社の概要を検討

スケジュールが決まったら、次は設立する会社の内容を詰めていきます。具体的には、次についてお客さんの相談に乗りながら決めていきます。

  1. 商号
  2. 本店所在地・支店所在地
  3. 事業目的
  4. 社員・代表社員
  5. 資本金額(現物出資の有無)
  6. 事業年度(決算月)

3.商号や事業目的の調査

商号と事業目的については、詳しく調査していきます。

3-1.商号調査

会社法以前はもっと細かい制限がありましたが、現在は、同一住所・同一商号の登記が禁止されています。

【商業登記法27条】
商号の登記は、その商号が他人の既に登記した商号と同一であり、かつ、その営業所(会社にあつては、本店。以下この条において同じ。)の所在場所が当該他人の商号の登記に係る営業所の所在場所と同一であるときは、することができない。

現実的には、同じ所在場所・同じ社名というのはそうそうあることではありませんが、絶対ありえない、ということも言えませんので、やはり調査を省略することはできないと思います。

また、登記上問題なくても、近くに類似商号の会社があれば、新設会社に対してクレームを入れてきたり嫌がらせを受ける可能性もあります。

さらに、会社法・不正競争防止法で「不正目的での商号使用が禁止」されています。

【会社法8条1項】
何人も、不正の目的をもって、他の会社であると誤認されるおそれのある名称又は商号を使用してはならない。
【同2項】前項の規定に違反する名称又は商号の使用によって営業上の利益を侵害され、又は侵害されるおそれがある会社は、その営業上の利益を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。

【不正競争防止法3条】
不正競争によって営業上の利益を侵害され、又は侵害されるおそれがある者は、その営業上の利益を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。
【同2項】
不正競争によって営業上の利益を侵害され、又は侵害されるおそれがある者は、前項の規定による請求をするに際し、侵害の行為を組成した物の廃棄、侵害の行為に供した設備の除却その他の侵害の停止又は予防に必要な行為を請求することができる。

ということで、できるだけリスクをあぶり出し、お客さんの判断材料を提供するという意味でも、商号調査は必要だと思います。

3-2.事業目的

事業目的については以下の点が審査されますので、引っかかることがないように、お客さんが希望する事業内容の表現を考えていきます。

  • 適法性
  • 明確性
  • 営利性

重要なのは「明確性」です。目的の表現が日本語的に意味が分かるものでなくてはなりません。

以前に審査されていた「具体性」については現在は審査項目ではありませんが、取引相手に会社の内容を分かりやすく伝えるためにも、僕は神経質になりすぎない程度に、具体的な表現にするように心がけています。

僕は次の2冊を持っていますが、これらの本に掲載されている事例を参考にして、事業目的の表現を決めています。

ちょっと古い本で新品は手に入らないと思いますが、目的の審査が今より厳しかった時代の本です。幅広い分野の目的の例が掲載されており、とても参考になります。

こちらも新品では手に入らないようですが、ものすごい量の事例(事例部分だけで802ページ分)が掲載されています。

4.個人実印・会社実印の準備

商号調査も済み、お客さんが商号を決定したら、会社の印鑑を発注します。

僕はお客さんの代わりに印鑑を注文していますが、だいたい、柘(つげ)材か黒水牛(くろすいぎゅう)材の3本セットをお選びになられる感じです。

合同会社の代表印には「代表社員乃印」と彫ってもらっています。銀行のお届け印は株式会社と同様に「銀行乃印」です。

3本セットの内訳は、法務局に届け出る「代表印(通称:会社の実印)」、銀行に届け出る「銀行印」、会社の認め印となる「角印」です。サイズはお好みですが、僕は順に、18ミリ・18ミリ・21ミリをおすすめしています。

もし代表社員になる方が個人の実印を持っていなければ、個人の実印も併せて発注します。実印が出来上がり次第、役所に登録に行ってもらい、印鑑証明書1通を取ってきてもらいます。

5.定款原案についての打ち合わせ

お客さんとの打ち合わせを経て定款原案を作り、お客さんに説明・了承をもらったら定款は完成です。

合同会社の定款については、公証人の認証を受ける必要がありません。ちなみに、合同会社の定款を「紙」で作った場合は原本に印紙4万円の貼付が必要になるので、電子定款で作って印紙代を節約するようにしています。

6.資本金の払い込み

定款の作成が済んだら、次は資本金の払い込みです。

払い込みの方法は次のとおりです。

  • 代表社員になる方
    自分名義の口座に「預け入れ」をします。「預け入れ」ですので、通帳には自分の名前は記載されません。
  • その他の社員
    代表社員になる方の口座に「振り込み」します。当然、振込手数料は「別途」とします。通帳には名前が記載されます。

払込先の口座については、既存のもので問題ありませんし、残高が残っていても問題ありません。ゆうちょ銀行も使えます。

7.各種書類の作成

払い込みが済んだら、次の必要書類を作ります。

  • 本店所在地及び資本金決定書
    僕は「定款で代表社員を決めた」という形で作ることが多いですが、代表社員を決めていない場合は、互選書などの作成も必要です
  • 代表社員の就任承諾書
  • 払込証明書

株式会社の場合と異なり、社員の個人印を押印する書類については認印でもOKです。私は基本的に実印を押してもらっています。

8.司法書士さんとのやり取り

設立登記申請は司法書士さんの仕事ですので、司法書士さんに依頼します。

次の書類・情報を司法書士さんにお伝えすれば、準備を進めてくださると思います。

  • 定款
  • 本店所在場所
  • 代表社員の住所
  • 設立日

司法書士さんは次の書類を作ってくださいます。

  • 登記申請の委任状
  • 登記申請書・登記すべき事項(電子申請なので、書類というより入力ですね)
  • 印鑑届書
  • 印鑑カード交付申請書

司法書士さんの書類ができあがり次第、お客さん・司法書士・行政書士の3者で打ち合わせを行います。(会社の代表印もこの段階ででき上がっている必要があります。)

その際に、9で作成した書類、そして司法書士さんが作成した書類に押印をいただきます。

この打ち合わせの際に、司法書士さんもお客さんの本人確認を行います。また、印鑑カード交付申請は設立が完了してからの手続きではありますが、この段階の日付で委任していただいて問題なかったです。

以上で設立前の打ち合わせはすべて完了となります。

9.法務局への設立登記申請

お客さんが指定した日に司法書士さんが設立登記申請を行ってくださいます。この日をもって会社が設立となります。

申請が済んだらお客さんに報告し、登記事項証明書(通称:登記簿謄本)が何通必要か確認しておきます。コピーして使ったり、原本提示後に返却してもらったりと使い回せば、最低限税務署に提出する1通のみでOKですが、お客さんの方で必要な場合もありますので、希望を聞いておきます。

法務局のHPに登記完了予定日が出ているので、完了予定日の前日頃から登記供託オンラインで謄本が請求できないかどうか申請してみます。

謄本が取得できれば、まもなく司法書士さんからも登記完了の連絡が来て、原本還付してもらった定款と印鑑カードを受け取りに行きます。

その間に、郵送で取り寄せておいた謄本も事務所に到着するよう段取り、一式をお客さんにお渡しして設立完了です。

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