農地転用許可(農地法5条・事業計画変更承認申請)

先日、初めて農地転用手続きの依頼を受けました。せっかくですので、調べたことをこのページにまとめていきたいと思います。

目次

  1. 依頼の概要
  2. 法務局調査
  3. 法令等の調査
  4. 土地改良区での確認
  5. 農業委員さんによる現地確認
  6. 依頼者の押印
  7. 土地改良区への申請
  8. 農業委員会への申請
  9. 農業委員会で許可証受領

1.依頼の概要

今回の依頼の概要は次のとおりです。

  • 約300平米の土地1筆
  • 個人間の所有権移転(売買)
  • 譲受人は個人住宅を建てる予定

土地家屋調査士専業の先生からのご依頼でした。
農地転用・個人住宅建築のケースでは、

  1. 行政書士(農地転用許可申請)
  2. 司法書士(所有権移転登記申請)
  3. 土地家屋調査士(建物表題登記・土地地目変更登記)
  4. 司法書士(保存登記申請・抵当権設定登記申請)

という士業の連携で動いていくことになります。

2.法務局調査

早速、法務局での登記情報の調査から始めていきます。

申請地の登記事項証明書の添付が必要となりますので、インターネット登記情報ではなく、登記事項証明書を取得してしまいます。法務局に行くのは面倒なので、オンライン申請です。ちょっと安くなりますしね!

取得したのは、

  • 申請地の登記事項証明書
  • 申請地の公図

以上2点です。

申請日の翌日に郵送されてきたので、早速登記情報を見てみました。

すると、譲渡人が当該土地を売買で取得していたことが分かりました。もしかすると、譲渡人が売買で取得した際に5条許可を取っている可能性があります。

※後日、譲渡人に確認したところ、やはり許可取得済みでした。

ということで、今回は、

  • 事業計画変更承認申請
  • 承継人による農地法5条許可申請または届出

が必要となることが分かりました。

3.法令等の確認

続いて、関係する法令・通達などを調べていきます。

農地法関連

  • 農地法5条
    「農地を農地以外のものにするため、これらの土地について権利を移転する場合には、政令で定めるところにより、当事者が都道府県知事の許可を受けなければならない。」
  • 農地法に係る事務処理要領の制定について(平成21年12月11日)
    国の通達で、手続の取扱い等を確認しました。
  • 農地法関係事務処理要領
    自治体の通達もチェックです。様式・添付書類について確認しました。
  • 農地転用許可後の事務処理要領
    この要領に計画変更の書式や手続について規定がありました。※自治体によって通達の名称は異なるようです。
  • 転用の計画面積
    一般住宅で500㎡・農家住宅で1,000㎡程度が目安、とされていましたが、今回は一般住宅の敷地として約300㎡ということで、この基準はクリアです。
    ※1筆の面積が広すぎる場合は、土地家屋調査士さんに分筆登記手続きをしていただく必要があります。
  • 標準処理期間
    申請の締切日が毎月設定されており、標準処理期間も定められていました。5条許可は約40日、計画変更は承継者ありで6週間、となっていました。
    ※自治体によって異なると思われます。

都市計画法関連

  • 区域区分の確認(都市計画区域における線引)
    都市計画図を建設課で購入して確認したところ、非線引区域でした。ということで、転用届ではなく転用許可申請が必要です。

農振法関連

今回は既に許可を取っている地域ですので、農用地区域ではないですね。

もし農用地区域に入っている場合は「農振除外」の手続が必要になります。許可を得るのはとても難しくなるようです。

4.土地改良区での確認

続いて、土地改良区での確認です。

当初の計画者に確認したところ、土地改良区との間で結んだ「協約書」が出てきました。

ということは、当初は土地改良地区に入っており、当初の許可時に土地改良地区からの除外申請を行っていた、と推測されます。

※「台帳から外す」という表現がされます。

土地改良区を訪問し、当時の資料を提示し確認をお願いしたところ、台帳から外れており、決済金・排水負担金等の納付が済んでいることが確認できました。

だた、農業委員会への申請時に「土地改良区の意見書」を添付する必要があり、その再発行の申請手続きが必要となるため、様式を手数料を確認しました。

手数料は500円で、様式もA4 1枚の簡単なものでした。

5.農業委員さんによる現地確認

ある程度状況がはっきりしてきた段階で、地区担当の農業委員さんに現地確認をしていただくことにしました。

※現地確認書類に署名押印いただき、申請の際に添付する必要があります。

どなたが申請地の地区を担当する農業委員さんなのかは、農業委員会事務局の窓口で教えていただきました。ちなみに、今回申請する事務局窓口には【委員さんの住所】・【電話番号】が書かれた一覧表が備え付けられていましたので、メモを取らせていただきました。

※他県の農業委員会HPを見たら、委員さんの一覧が掲載されていました。農業委員会のHPは要確認ですね。

その後、農業委員さんのご自宅にお電話をし、アポを取りました。

幸い、即日確認可能ということでしたので、農業委員さん宅にうかがい、車で現地をご案内し、確認していただきました。確認後、再度委員さんのご自宅にお邪魔し、署名押印いただくことができました。

※農業委員さんには位置図・案内図・簡単な資料をお渡ししました。

6.依頼者の押印

依頼者(譲受人・譲渡人)とは時々お会いしたり、ちょくちょくお電話で状況を報告していましたが、この段階で申請前最後の打ち合わせをお願いしました。

委任状等に押印をいただいたり、今後の流れをご説明させていただきました。

ちなみに、代理申請・委任状の取り扱いについては各都道府県農地関連部署と行政書士会との間で取り決めがされ、通達が発せられていますので、確認が必要です。他県の取り扱いも調べてみたのですが、僕のところとは結構違っていました。

7.土地改良区への申請

早速農業委員会事務局に申請書を提出したいところですが、前に書いた「土地改良区の意見書」を添付する必要があるため、その申請書を土地改良区に提出しました。

窓口来訪者(行政書士)・必要とする人(譲受人)双方の印鑑が必要ですが、委任状は不要で、行政書士が窓口に出向くだけでOKでした。

※印鑑証明の添付も不要です。ということで、依頼人が押印する印鑑は認めでOKです。(行政書士は職印)

1週間程度で発行するので電話連絡を待つように言われましたが、3日ほど経ってお電話をいただき、再度土地改良区を訪問、発行手数料500円を支払い「意見書」をいただくことができました。

8.農業委員会への申請

ひと通り準備が整いましたので、いよいよ農業委員会事務局に書類を提出しに行きました。準備したのは次の書類です。

  • 申請書
    5条・計画変更それぞれ3部。
  • 住民票
    今回は申請者が申請地在住ではなかった。
  • 原附票
    譲渡人の登記簿上の住所と現住所が異なっていたため添付。しかも、譲渡人が過去に転籍していたため原戸籍の附票に登記簿上の住所が載っていました。
  • 位置図
    申請地の建設課で都市計画図(1:1,000)を買い、コピーして添付。
  • 案内図
    住宅地図をコピーして添付。なお、住宅地図はセブンイレブンでプリントできるサービスがあり便利。一冊買うと結構高いし、頻繁に買い換えるわけにもいかないので・・・。
  • 公図
  • 土地利用計画図
    今回は個人住宅の建築が転用目的だったので、工務店さんが作ってくださった図面を添付。
  • 平面図
    同上。
  • 登記事項証明書
  • 農業委員さんの現地確認書
  • 土地改良区の意見書
  • 委任状
    5条用・計画変更用それぞれ1通。ペラ1枚です。
  • 印鑑証明書
    譲渡人・譲受人それぞれ1通

※上記はあくまで僕が申請した役所に指示された書類です。地域によって添付書類は大幅に異なるようです。

委任状のサンプル(確認書不要)

事業計画変更承認申請

5条許可申請

※代理申請・委任状の取り扱いについては、各行政書士会と自治体との間で打ち合わせがされています。自治体によって文言や取り扱いが異なると思いますので、ご不明な点は所属行政書士会に確認されてください。

ちなみに、委任状を添付して代理申請する場合、申請書には行政書士の職印のみ押印します。申請者の押印は不要です。

9.農業委員会で許可証受領

申請後、農業委員会事務局から補正等の連絡はなかったので、無事に農業委員会で承認可決されたものと思いました。もっとも、農業委員会HPで公開されている過去の議事録を見ても否決事案は見当たりませんでした。

申請書の提出時に「◯月20日頃の許可となりますのでその頃にご連絡します」と言われていたのですが、◯月19日に農業委員会事務局から許可が降りた旨の電話がありました。

翌日、早速農業委員会に出向き、許可証を受領してきました。許可日は◯月16日となっていました。

なお、許可証受取の際に受領簿に押印を求められたので、職印を押印しました。

ちなみに、受け取ったのは次の書類です。

  • 5条の許可証+条件・注意事項・教示事項が記載された書類
    申請書の左下部がそのまま許可証欄になっています。
  • 事業計画変更承認証+条件・注意事項・教示事項が記載された書類
    同様に、申請書が承認証になっています。
  • 許可済証(現場掲示用)

こんな感じで、何とか初めての農地転用手続きを終えることができました。

(追記)

その後、農業委員会HPに今回の案件に関する総会議事録が掲載されていたので見てみました。すると、総会開催の1週間前に「事前審査委員会」なるものが開催され、異議なしとされていた旨が記載されていました。

もし許可が難しい案件であれば申請時に事務局よりアドバイスされるでしょうし、申請したとしても「事前審査委員会」で否決されてしまうのだと思います。その結果、可決が確実な案件しか総会にかからないのかもしれませんね。

そして、5条については総会で可決の後「農業会議に諮問し、答申があった後に許可とする」とのことでした。

以上で今回の実務メモは終わりです。

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