相続手続(相続関係説明図・遺産分割協議書作成)

私は相続業務を積極的には集客していないので、扱うとしても年に1、2件あるかないか、という感じです。ちなみに、2015年は1件のみでした。

久々に依頼を受けたので、備忘録としてまとめておきたいと思います。

目次

  1. 依頼の概要
  2. 手続の概要・費用
  3. 相続人の調査
  4. 遺産の調査
  5. 相続関係説明図作成
  6. 遺産分割協議書作成
  7. 司法書士さんによる登記申請
  8. 相続関係書類・登記識別情報お渡し(業務完了)

1.依頼の概要

今回の案件の概要は次のとおりです。
※守秘義務の観点から、一部内容を改変してあります。

  • 依頼者の父親が亡くなったため、相続手続をしたい
  • 相続人は依頼者(A)・姉(B)・亡き兄(C)の代襲相続人1名(D)
    ※被相続人の妻は既に亡くなっており、遺産分割も済んでいる
  • 相続財産は自宅の土地と建物(依頼者が住んでいる)
    ※現金はほぼ無し、預金なし
  • 上記土地・建物は依頼者がすべて相続したい
  • 相続税はかからない

2.手続の概要・費用

申請先・関連する役所

  • 法務局
    不動産の所有権移転登記(司法書士さんに依頼)
  • 市役所
    戸籍類・名寄等の取得
  • 登記情報提供サービス
    土地建物の登記情報・図面類の取得

申請手数料

  • 戸籍類
    1通450円~750円(原戸籍や除籍は高い)一式取得するとトータル5,000円くらいでしょうか。
  • 住民票類
    1通300円
  • 登記情報
    土地建物1件337円・図面類1件367円
  • 税証明
    名寄せ土地建物各300円
  • 所有権移転登記
    固定資産税評価額の4/1,000

標準処理期間

相続登記は申請から完了まで10日くらいかかります。初回の打ち合わせから登記完了まで、スムーズに進んで1箇月くらい見ておいた方が良さそうです。

3.相続人の調査

早速相続人の調査から着手します。まずは、被相続人が生まれてから亡くなるまでの戸籍を集め、相続人を確定します。

依頼者からお聞きしていた本籍地にて、出生の記載がある戸籍から死亡の記載がある戸籍までを職務上請求用紙を使って請求します。

県外への転籍・転入などがある場合は郵送請求しなければならず時間がかかるのですが、今回は運良く、1箇所の役所で出生~死亡までの戸籍が揃いました。

出生~死亡までの戸籍の種類の内訳は下記のとおりとなりました。

  • 除籍
  • 改製原戸籍(昭和の原戸籍)
  • 除籍
  • 改製原戸籍(平成の原戸籍)
  • 除籍(電算化後の横書きの証明書)

また、併せて、被相続人の住民票の除票も取得しました。(ちなみに、除票の保存期間は死亡から5年です。)

続いて相続人の現在戸籍を取得しますが、相続人のうちCさん(依頼者の兄)は被相続人の死亡前に亡くなっているので、代襲相続人を確定するため、Cさんの出生から死亡までの戸籍類も取得しました。

相続人関連の戸籍類は次のとおりとなりました。

  • Aさん(依頼者)の戸籍(個人事項証明)・住民票
  • Bさん(依頼者の姉)の戸籍(同上)
  • Cさん(依頼者の亡き兄)の出生~死亡までの戸籍類(平成原戸籍・電算化後の除籍)
  • Dさん(代襲相続人)の戸籍(現在事項証明)

相続人が確定した段階で、各相続人に印鑑証明書1通の取得も頼んでおくと良いです。印鑑証明書自体は、実印を押印する遺産分割協議書に添付するものですが、相続関係説明図等に記載する住所を早めに確認しておきたいため、この段階で依頼しておいた方が良いと思います。

4.遺産の調査

相続人調査の次は遺産の調査です。今回は葬儀を経て現金がほとんど残らなかったので、相続財産は実質的に不動産のみということになります。

初回訪問時に固定資産税の納税通知書を見せてもらうべくお願いしたのですが、ちょっと行方不明で見当たらないということでした。そこで、市役所で「名寄」を請求することにしました。

行政書士が取得を代行する場合、次の書類が必要です。

  • 委任状
    市役所所定の委任状様式もありますが、私の方で任意に作った委任状の原本提示+写しの提出でOKでした。※自治体によって取り扱いが違ってくると思います。
  • 請求者(委任者である相続人Aさん)と被相続人の続柄が分かる書類
    Aさんの現在戸籍の写し(父欄に被相続人の氏名が記載されているので、これで続柄がわかります。)

これで名寄が取得できました。名寄を取得すると、次の情報がわかります。

  • 課税されている不動産の一覧
    →課税されない不動産は記載されていないので注意!
  • 各不動産の固定資産税評価額
    →相続登記の登録免許税額が判明。

引き続き、登記情報提供サービスにて、名寄に記載されている不動産の登記情報と公図・建物図面を取得します。

不動産の登記情報はいいとして、公図については周辺の土地の状況を調べるために取得しました。

田舎では、自宅の敷地の一部が分筆されて墓地になっている、というケースが時々あります。墓地には固定資産税が課税されないので(地方税法348条2項4号)、名寄には出てきません。ですので、依頼者から話を聞いたり土地を実際に見て確認するなどし、当たりをつけておきます。

※今回は、墓地については該当がありませんでした。

また、公衆用道路も固定資産税が課税されないので(地方税法348条2項5号)、名寄に記載されていない場合があります。(自治体によっては記載されている場合もあります。)該当がないか公図を見てチェックします。すると、今回のケースでは自宅敷地の周りに細長く区切られた土地がありました。早速登記情報を取得すると、やはり公衆用道路として被相続人名義の土地が存在しました。

次に建物図面についてですが、建物の場合、増築した際に変更登記をしていないというケースが結構あります。ですので、建物図面を取得し、依頼者への聞き取りと併せて、実際の建物と照らし合わせて増築された形跡がないか確認しておきます。

ちなみに、今回のケースでは、遺産である自宅建物が被相続人と相続人Aさんの共有になっていました。

以上については、依頼者から登記済証も拝見させていただき、漏れ等がないか改めてチェックしておきます。

※名寄等を取る前に登記済証を見させていただきたかったのですが、探すのに時間がかかるとのことで、先に私の方で出来るところから調査を進めた次第です。

ちなみに、建物については未登記となっている物件も時々あります。その場合でも、だいたいは固定資産税が課税されているので、名寄には掲載されています。

※過去に、物件はあるけど名寄に掲載されていない、つまり、固定資産税が課税漏れになっているというケース、そして、建物は既に取り毀されているけど、長年課税がされたままになっている、というケースを経験したことがあります。

以上にて調べた内容を「財産目録」として一覧表にしておきます。

財産目録は役所に提出する書類ではありませんが、遺産分割協議の資料として作っておきます。

5.相続関係説明図作成

各種調査が済んだので書類作成を始めます。まずは相続関係説明図です。今回は代襲相続人を記載するため横長になるので、用紙サイズはA3にしました。

(相続関係説明図サンプル ※クリックすると大きくなります)
相続関係説明図

被相続人

下記を記載します。

  • 本籍
  • 最後の住所
  • 登記簿上の住所
    ※登記簿上の被相続人の住所が最後の住所と異なる場合
  • 出生年月日
  • 死亡年月日

被相続人の配偶者

既に亡くなっているので、出生年月日、死亡年月日を記載します。

各相続人

下記を記載します。

  • 被相続人との続柄(長男・長女・二男・二女・養子など)
  • 住所
  • 出生年月日

代襲相続人

下記を記載します。

  • 被代襲者(生きていれば相続人だった方)との続柄
  • 住所
  • 出生年月日

6.遺産分割協議書作成

遺産の内容が判明し相続人が確定すると、いよいよ遺産分割協議となります。財産目録をお渡しし、相続人間で遺産の分け方について話し合ってもらいます。

各相続人が一堂に会せない場合は(そういう場合も結構多いです)、相続人代表者に仕切っていただき、電話等で話をまとめていただきます。

もっとも、相続開始当初から既に「誰がどの遺産を相続するか決まっている」というケースも多々あり、その場合はすぐに協議書の作成に取り掛かります。

遺産分割協議書を作る際には、次の点に注意します。

  • 被相続人の特定
    本籍・死亡年月日・氏名を書くようにしています。
  • 相続人の特定
    住所・誰の相続人であるか+氏名(被相続人○○の相続人 何某)
  • 不動産の特定
    登記情報通りに記載(土地なら所在・地番・地目・地積、建物なら所在・家屋番号・種類・構造・床面積)
  • 預貯金の特定
    金融機関名・口座の種類・口座番号・相続開始日の残高

なお、私は相続人それぞれから個別に署名押印いただく形で分割協議書を作っています。いわゆる「分割協議証明書」ですね。

通常の分割協議書として作った場合、相続人全員で契印を押すと書類が汚れてしまったり、作成枚数が多くなったり、何かと面倒です。

また、相続人が遠方にいらっしゃり、なかなか一堂に会せないケースも多いので、個別にもらった方が楽です。

(遺産分割協議証明書サンプル)

遺産分割協議証明書サンプル

司法書士さんによる登記申請

ここで司法書士さんにバトンタッチです。

行政書士として収集・作成した下記を司法書士さんにお渡しし、相続登記(所有権移転・持分移転)の申請をしてもらいます。

司法書士さんにお渡しするのは次の書類です。

  • 戸籍類
  • 遺産分割協議書(または遺産分割協議証明書)
  • 相続人の印鑑証明書

司法書士さん側では、不動産を相続する相続人の住民票の取得、本人確認、委任状への押印を行っていただき、登記申請へと運びます。

相続関係書類・登記識別情報お渡し(業務完了)

不動産の相続登記が終わったので、依頼者様に次の書類をお渡しし業務完了のご報告をします。

  • 戸籍類
  • 遺産分割協議書(または遺産分割協議証明書)
  • 相続人の印鑑証明書
  • 登記完了証
  • 登記識別情報
  • 公図(対象不動産を図示)
  • 相続登記後の登記事項証明書

今回はこれで無事に業務完了となりました。

預貯金の解約はどうしたの?という感じですが、今回は依頼者がご自身で対応されました。

銀行の相続手続(解約・払い戻し)については、銀行にその旨を連絡すると必要書類一式を送ってくれますので、これに記入・相続人全員の実印を押印し、分割協議書・戸籍類と共に銀行に持ち込めば、その場で処理をしてもらえると思います。

その辺の手続についてはまたの機会に書きたいと思います(依頼が来たらの話ですが・・・)

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