一般社団法人の新規設立

一般社団法人の新規設立について、設立の流れに沿ってご説明したいと思います。

以下では、理事会非設置型を前提としています。他のケースはまた別のページにまとめたいと思います。

目次

  1. 設立スケジュールの確認・決定
  2. 設立する法人の概要を検討
  3. 名称や事業目的の調査
  4. 個人実印・法人実印の準備
  5. 定款原案についての打ち合わせ
  6. 公証役場に提出する定款・委任状への押印
  7. 定款認証
  8. 各種書類の作成
  9. 司法書士さんとのやり取り
  10. 法務局への設立登記申請

1.設立スケジュールの確認・決定

お客さんから一般社団法人設立のご依頼が入ると、早速初回の打ち合わせを行っていきます。

まずは、お客さんのご希望をうかがいながら、設立までのスケジュールを決めていきます。設立希望日を決めて、そこから逆算してスケジュールを組んでいくという感じです。許認可の取得が必要な場合は、許認可が下りるまでのスケジュール確認も欠かせません。

2.設立する法人の概要を検討

スケジュールが決まったら、次は設立する法人の内容を詰めていきます。具体的には、次についてお客さんの相談に乗りながら決めていきます。

  1. 名称
  2. 主たる事務所の所在場所・従たる事務所の所在場所
  3. 事業目的
  4. 社員について
  5. 基金について
  6. 役員(理事・代表理事・監事について)
  7. 事業年度(決算月)

3.名称や事業目的の調査

名称と事業目的については、株式会社や合同会社と同様に、詳しく調査していきます。

近隣に似た名前の会社や各種法人があれば、法的なトラブルにならなかったとしても、現実的にはクレームを入れてきたり嫌がらせを受ける可能性もあります。

できるだけリスクをあぶり出し、お客さんの判断材料を提供するという意味でも、名称の調査はしっかりと行っておきたいものです。

事業目的の表記についても、普通の会社同様に、下記の書籍などを利用して表現を検討していきます。

ちょっと古い本で新品は手に入らないと思いますが、目的の審査が今より厳しかった時代の本です。幅広い分野の目的の例が掲載されており、とても参考になります。

こちらも新品では手に入らないようですが、ものすごい量の事例(事例部分だけで802ページ分)が掲載されています。

また、一般社団法人の事業目的は、「当法人は◯◯を目的として、その目的に資するために次の事業を行う。(1)・・・(2)・・・」のような表現となり、NPO的な書き方になるケースが僕の場合は多いです。

4.個人実印・法人実印の準備

名称の調査も済み、お客さんが名称を決定したら、法人の印鑑を発注します。

僕はお客さんの代わりに印鑑を注文していますが、だいたい、柘(つげ)材か黒水牛(くろすいぎゅう)材の3本セットをお選びになられる感じです。

まったくの余談ですが、「黒字経営には黒い印鑑を」などと言われ、黒水牛の印鑑が好まれるケースがあります。

3本セットの内訳は、法務局に届け出る「代表印(通称:会社の実印)」、銀行に届け出る「銀行印」、会社の認め印となる「角印」です。サイズはお好みですが、僕は順に、18ミリ・18ミリ・21ミリをおすすめしています。

もし設立時社員・設立時理事が個人の実印を持っていなければ、個人の実印も併せて発注します。実印が出来上がり次第、役所に登録に行ってもらい、次の通数の印鑑証明書を取ってきてもらいます。

  • 設立時社員:1人1通(→定款認証に際し、公証役場に提出)
  • 設立時理事:1人1通(→設立登記申請に際し、法務局に提出)

設立時社員であり理事にも就任する方は、印鑑証明書が2通必要ということになります。

5.定款原案についての打ち合わせ

お客さんとの打ち合わせを経て定款原案を作り、お客さんに説明・了承をもらったら、管轄の公証役場に原案を提出して事前審査を受けます。

ちなみに、これは僕の場合ですが、一般社団法人の定款は設立時社員が作成した形(紙定款で本人が押印)にし、行政書士は認証手続きのみを代理する(嘱託代理)というやり方にしています。

公証人の先生に嘱託代理を勧められたのですが、一般社団の定款には印紙貼付が必要ありませんので、あえて電子定款にはせず、万が一の訂正がやりやすい紙定款にし、行政書士の作成代理ではなく、設立時社員の本人作成の形にしています。

そうすると、設立登記申請の際の添付書類も大幅に省略できる場合があります。

設立時社員=設立時理事であり、定款で設立時理事・設立時代表理事を選んでおけば、設立時理事の選任、設立時代表理事の選定、そしてそれぞれの就任承諾について「定款の記載を援用」することができ、それぞれの書類の添付を省略可能です。定款に本人の実印が押印されているので、選任・選定を認め、就任を承諾したものと見てもらえるのです。

公証役場との定款の打ち合わせの流れですが、これは嘱託代理の場合も作成代理の場合も同様で、次のとおりとなります。

  1. 公証役場に電話し、一般社団の定款認証を受けたい旨・これから原案をファックスする旨をお伝えします。
  2. 送付状・定款原案・委任状原案・設立時社員の印鑑証明書を公証役場にファックスします。
  3. 公証役場より連絡があり、補正箇所があればその旨の指摘を受けます。
  4. 補正の内容にもよりますが、大幅に修正する場合は修正済みの書類を再度ファックスします。
  5. 公証役場よりOKの連絡が来て内容の打ち合わせは完了です。
  6. 定款認証をしていただく日時(行政書士が公証役場に出頭する日時)について、公証人の先生の都合を聞いて予約します。日によって担当の先生が決まっている場合もあるので、担当の先生のお名前を聞いておきます。

打ち合せと言っても公証役場に出向くことはなく、ファックス電話でやり取りします。公証役場の書記さん(事務員さん)が対応してくださる場合もあれば、公証人の先生ご本人が直接対応してくださる場合もあります。

6.公証役場に提出する定款・委任状への押印

定款案等の事前打ち合わせが終わったら、完成した定款に設立時社員の実印を押印してもらいます。定款作成日も入れ、定款は完成となります。

そして、認証嘱託を行政書士に委任する旨の委任状についても、設立時社員から押印してもらいます。

7.定款認証

あらかじめ予約した日時に行政書士のみが公証役場に出向きます。次のものを持参してください。

  • 定款(3通)(公証役場保管用・正本(法人保管用)・謄本(法務局提出用)
  • 委任状(1通)
  • 設立時社員の印鑑証明書(各1通)
  • 行政書士の個人の印鑑証明書(1通)
  • 現金(だいたい5万2000円くらい)

8.各種書類の作成

次の書類を作ります。

  • 主たる事務所所在場所の決定に関する決議書
  • 理事の就任承諾書(省略できる場合あり)

9.司法書士さんとのやり取り

書類の準備が整ったら、司法書士さんに設立登記申請を依頼します。

次の書類・情報を司法書士さんにお伝えすれば、準備を進めてくださると思います。

  • 定款
  • 主たる事務所の所在場所
  • 代表理事の住所
  • 設立日

司法書士さんは次の書類を作ってくださいます。

  • 登記申請の委任状
  • 登記申請書・登記すべき事項(電子申請なので、書類というより入力ですね)
  • 印鑑届書
  • 印鑑カード交付申請書

司法書士さんの書類ができあがり次第、お客さん・司法書士・行政書士の3者で打ち合わせを行います。(法人の代表印もこの段階ででき上がっている必要があります。)

その際に、8で作成した書類、そして司法書士さんが作成した書類に押印をいただきます。

この打ち合わせの際に、司法書士さんもお客さんの本人確認を行います。また、印鑑カード交付申請は設立が完了してからの手続きではありますが、この段階の日付で委任していただいて問題なかったです。

以上で設立前の打ち合わせはすべて完了となります。

10.法務局への設立登記申請

お客さんが指定した日に司法書士さんが設立登記申請を行ってくださいます。この日をもって法人が設立となります。

申請が済んだらお客さんに報告し、登記事項証明書(通称:登記簿謄本)が何通必要か確認しておきます。コピーして使ったり、原本提示後に返却してもらったりと使い回せば、最低限税務署に提出する1通のみでOKですが、お客さんの方で必要な場合もありますので、希望を聞いておきます。

法務局のHPに登記完了予定日が出ているので、完了予定日の前日頃から登記供託オンラインで謄本が請求できないかどうか申請してみます。

謄本が取得できれば、まもなく司法書士さんからも登記完了の連絡が来て、印鑑カードを受け取りに行きます。

その間に、郵送で取り寄せておいた謄本も事務所に到着するよう段取り、一式をお客さんにお渡しして設立完了です。

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